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ブランディングの現場では、ブランド、CI、ブランド・エクイティ、インナーブランディングなど、意味の近い専門用語が数多く使われます。この用語集では、ブランディングを学び始める方や実務で取り組む方に向けて、基礎用語、ブランド戦略、マーケティング、フレームワーク、心理効果をわかりやすく整理しました。
各用語は、まず意味を短く示し、必要に応じて実務での使い方や混同しやすい言葉を補足しています。一般的な定義と協会独自の考え方が異なる場合は、その違いがわかるように記載しています。
この記事の目次
用語はテーマごとに掲載しています。調べたい言葉が決まっている場合は、ブラウザのページ内検索もご利用ください。
名称、言葉、デザイン、体験などを通じて、人の中に形成される識別・評価・連想のまとまりを指します。
ブランド・プランナー協会では、企業や商品が持つ「らしさ」と、それが社内外に蓄積された状態を含めてブランドと捉えています。
ブランドの目指す姿や提供価値を定め、一貫した活動や体験を通じて認識を形成・蓄積していく取り組みを指します。
ロゴや広告の制作だけではなく、商品、接客、採用、組織づくりなども対象になります。
企業内部へのブランド浸透や蓄積を促す活動全般を指す
※「組織行動学」「人的資源管理」「チームビルディング」も合わせて押さえておくと理解が深まります。
企業外部へのブランド浸透や蓄積を促す活動全般を指す
経営戦略などを含む企業全体を対象にしたブランディングを指す
人事戦略などを含む採用全体を対象にしたブランディングを指す
※ブランド要素を基に、採用、教育、評価、等級、報酬などの各種制度を構築していく
事業戦略など含む商品やサービス全体を対象にしたブランディングを指す
※事業や商品シリーズ全体を指す「ファミリーブランド」という言葉もある
企業内の個人を対象にしたブランディングを指す
※「セルフブランディング」は企業内外問わず自分ブランドを対象にしたもの
顧客や市場を理解し、価値をつくり、伝え、届け、継続的な関係を築くための活動を指します。
市場調査、商品設計、価格、流通、販売促進、顧客関係などを横断して考えます。
市場において企業が競争優位を確立するための戦略を指す
※マイケル・ポーターによる基本戦略では、コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略の3つがある
※戦略を短い文脈にまとめ、「ストラテジー」と表現することもあります。
企業のもつ「らしさ」や特性を指す
MI(Mind Identity)、BI(Behavior Identity)、VI(Visual Identity)の観点から整理されることが多い
※企業の思い、行動、見え方をコントロールしていく
企業イメージの発信や浸透をさせていくための戦略を指す
※定性・定量面から改善活動をしていくことも含まれる
ブランドのもつ「らしさ」や特性を指す
BIはBehavior Identityの略として使われる場合もあるため、文脈の確認が必要です。
ブランドの持つ人間的な特長・人格を指す
※ブランドコミュニケーションを考える際に軸になる
ブランドが顧客やスタッフに約束する価値や行動を指す
企業やブランドの存在意義や使命を指す
企業やブランドの目指す姿や長期目標を指す
企業やブランドの持つ価値観や与える価値を指す
機能的価値、情緒的価値、自己表現価値から構成され、ベースには価値観(コア・バリュー)がある
顧客が競合ではなくその企業・商品を選ぶ理由となる、独自の提供価値を指します。
顧客が企業やブランドから与えられる便益
※バリューはメリットではなくベネフィットで考える
競合が容易に模倣できず、複数の商品や事業の競争力につながる中核的な能力を指します。
ブランド名やブランドに対する認識によって、商品・サービスに加わる価値を指します。
アーカーの代表的な整理では、ブランド・ロイヤルティ、ブランド認知、知覚品質、ブランド連想などから構成されます。
顧客がブランドを継続して選びたいと感じる度合いや、選択・推奨などの行動傾向を指します。
顧客やスタッフが持つブランドに対する認知度を指す
認知の測り方には、助成想起、非助成想起、第一想起などがあります。
単に名前を知っているかだけでなく、どのカテゴリーや場面で思い出されるかも重要です。
ブランドを見たり聞いたりした際に発生する品質的イメージを指す
ブランドによって生まれる連想全てを指す
※顧客やスタッフが特定のシーンやカテゴリーにおいてそのブランドが連想されるようにする
ブランドに対する顧客やスタッフの心理的な占有率を指す
人の記憶の段階を指す
※想起には長期記憶へのアプローチが重要になる
顧客から見た際の企業やブランドとの接点を指す
※インナーブランディングの際にも用いる
顧客の体験プロセスやタッチポイント、接触内容などを可視化したものを指す
ブランドの発信や活動などの全てのコミュニケーションを指す
ブランドのコミュニケーション全般から得られる体感や体験を指す
企業・ブランドと顧客の接点や情報伝達を、一貫した体験として設計することを指します。
※「ブランドコミュニケーションデザイン」や「ブランド体験デザイン」と置き換えて使うこともある
顧客体験だけでなく、それを支える人、業務プロセス、仕組みまで含めてサービス全体を設計・改善することを指します。
※顧客に触れる部分だけでなくプロセスやビジネスモデルも対象に
人と人のつながりや、参加・交流が継続する場の仕組みを設計することを指します。
※ブランドで繋がった人や場のデザインを考えていく
企業やブランドが社会に対して発信したいメッセージを指す
企業やブランドがもつ背景や物語を指す
企業やブランドと顧客との関係を定義する言葉を指す
企業やブランドの主張、目標、キャンペーンのテーマなどを、覚えやすい短い言葉で表したものを指します。
※社内向け・社外向けのどちらにも使われます。
企業やブランドが持つ行動指針や約束を短い言葉にまとめたものを指す
※クレドカードを作ったり名刺に反映させ活用するのが一般的
企業やブランドが取るべき行動を箇条書きで示したものを指す
※クレドを行動指針として使用する場合はどちらかに絞った方が良い
顧客や従業員が企業・ブランドに対して持つ心理的な関与やつながりの強さを指します。
対象により、顧客エンゲージメント、従業員エンゲージメントなどに分けて考えます。
企業・ブランドのミッションと、働く個人が大切にする目的や価値観の接点を見つけることを指します。
組織の目的を一方的に伝えるのではなく、本人の仕事とのつながりを対話によって理解することが重要です。
顧客との各接点を「顧客体験」という視点から改善していく手法のことを指す
顧客との関係を構築・管理する手法を指す
※顧客との接触データなどから良好な関係を構築していく
※CX(Customer Experience)の観点から改善を考えます
自社や商品に興味を持つ見込み客を獲得していく手法を指す
※以下「リードナーチャリング」の前段階として行う
顧客の持つ意識レベルに合わせコミュニケーションをとり顧客育成をしていく手法を指す
顧客の行動履歴から興味関心のある情報に絞り広告コミュニケーションを取る手法を指す
「家族や友人に薦める可能性」を0~10で尋ね、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出する指標です。顧客体験や関係性を把握する手掛かりとして使われます。
顧客や従業員との関係を維持し、継続利用・定着につなげるための取り組みを指します。
継続的に購入・利用し、ブランドに高い信頼や愛着を持つ顧客を指します。推奨や紹介につながる場合もあります。
ブランドへの共感や愛着を持ち、自発的に紹介・推奨する人を指します。
発信力の大きさを基準にするインフルエンサーとは役割が異なります。
既存顧客が他社のブランドに切り替えること
一般的な商品が辿る開発期、導入期、成長期、成熟期、衰退期のサイクルを指す
企業や事業、商品などの各ブランド要素の横断的な関係を指す
ブランドの広告などに接触した際に、前後で発生する改善効果のことを指す
※認知や想起の観点から計測される
企業の持つ商標や特許、意匠権、著作権など知的価値のある権利を指す
企業やブランドが発信する内容や活動、そこから得られる体験などを管理し、ブランドの資産価値を高めていくことを指す
企業や商品の「らしさ」を整理し、ブランド戦略の立案から言語化・視覚化・運用までを計画、推進する役割を指します。
※当協会では、中小企業の現場で社内外の関係者と協働し、ブランドづくりを実践する人材として定義しています。
担当するブランドの戦略、商品、コミュニケーション、顧客体験などを横断して管理し、ブランド価値の維持・向上に責任を持つ役割を指します。
計画、実行、評価、改善の4段階を繰り返すことによって業務を継続的に改善するフレームを指す
政治的、経済的、社会的、技術的な観点からマクロ環境を把握するためのフレームを指す
市場・顧客、競合、自社の観点からマーケットでの関係性を考えるためのフレームを指す
強み、弱み、機会、脅威の観点から外部環境による影響と自社の関係性を考えるためのフレームを指す
企業の視点から製品、価格、流通、販促における戦略を考えるためのフレームを指す
顧客の視点から、顧客にとっての価値、顧客が費やすお金や時間・労力、顧客にとっての利便性、顧客とのコミュニケーションの観点から、商品の戦略を考えるためのフレームを指す
市場を細分化、ターゲット層の明確化、ターゲット視点での優位性の観点から市場開拓を考えるためのフレームを指す
一連の事業活動において工程ごとに提供価値を明確にしていき、優位性や課題を考えるためのフレームを指す
最新購買日、購買頻度、購買金額の観点から顧客をグループ化しコミュニケーションを考えるためのフレームを指す
主に売上への貢献の高い商品などをABCのランクに分け事業戦略を考えるためのフレームを指す
※「パレートの法則」と呼ばれる8:2の法則から、全体(8割)にインパクトしている2割の商品を割り出す
「製品」と「市場」をそれぞれ「既存」と「新規」に分け、事業成長の方向性を考えるためのフレームワークです。
業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力という5つの要因から、業界の収益性や競争環境を分析するフレームワークです。
顧客セグメント、顧客との関係、チャネル、提供価値、キーアクティビティ、キーリソース、キーパートナー、コスト構造、収入の流れの観点からビジネスモデルを考えるためのフレームを指す
市場成長率と相対的市場シェアから事業を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」に分類し、経営資源の配分を考えるフレームワークです。
組織変革のプロセスを考えるためのフレームを指す
ソフトの4S:共通の価値観・理念、経営スタイル・社風、人材、スキル・能力
ハードの3S:戦略、組織構造、システム・制度
※ハードとソフトの連携は必須だが、ソフトの4Sを変えるには長期的な対策を敷くこと
注目、興味、欲求、記憶、行動という購買決定プロセスを指す
※購買後の継続利用まで捉えるモデルとして「AMTUL」もあります。
注目、興味、検索、行動、共有という購買決定プロセスを指す
共感、確認、参加、共有という購買決定プロセスを指す
※ソーシャルメディアを活用する層を想定したもの
獲得(Acquisition)、活性化(Activation)、継続(Retention)、紹介(Referral)、収益(Revenue)の5段階で顧客行動を捉えるフレームワークです。
※サービスの成長戦略に活用されます
※「イノベーター理論」「キャズム理論」も合わせて押さえておくと理解が深まります。
ブランド認知の後、理性的なアプローチと感情的なアプローチから、ブランドとのレゾナンス(共鳴)に昇華させるためのプロセスを指す
雑踏の中での自分に関係するキーワードは耳に入ってきやすくなる心理効果
大多数が支持するものに対し自分も参加したいと思う心理効果
その人が持つ強い印象や特徴に評価が引っ張られてしまう心理効果
当事者から直接伝えられる情報よりも、利害関係の薄い第三者から得た情報のほうが信頼されやすいとされる効果です。
症状と関係ない偽物の薬を飲んでも体調が良くなっていると感じる心理効果
黄色で書かれた黒という文字、青色で書かれた赤という文字を見た際に、言葉の意味と視覚情報が干渉し混乱してしまう心理効果
第一印象で感じたイメージが強く残ってしまうという心理効果
同じ人やものに接触回数が増えると自然に好印象を持つようになる心理効果
新しく手に入れた物に調和するよう、周囲の持ち物も統一したくなる心理傾向を指します。ブランドの商品をシリーズで揃える行動の説明にも使われます。
経験、先入観、感情などの影響により、判断や情報処理が一定の方向へ偏る心理傾向の総称です。
多くの人が選択・支持している事実を手掛かりに、その選択を妥当だと判断しやすくなる心理傾向を指します。
アメリカ合衆国の経営学者でありブランディング界の第一人者。ブランドエクイティ戦略論でブランドを資産として管理できるという考え方が世界中に広まった。
顧客ベースのブランド・エクイティの考え方を体系化した研究者です。ブランド・レゾナンス・ピラミッドなどを通じ、顧客とブランドの強い関係を段階的に整理しました。
アメリカ合衆国の経営学者でありマーケティング界の第一人者。上記でも説明したSTPの提唱者でもある。
ブランディングの学習をすると必ず出てくるので記載。
日本にCIの考え方を取り入れた第一人者。コーポレート・アイデンティティ戦略の著者で、PAOSグループの代表も務めている。
執筆・監修:松井 寛志
一般社団法人ブランド・プランナー協会 理事長・ブランドクリエイティブ講師。企業ブランディングの実務と教育に携わり、ブランド戦略を言葉や視覚表現へ落とし込む考え方を伝えています。