デザイナーにおすすめの資格11選|制作力・提案力を目的別に比較
監修:松井 寛志
編集・発行:一般社団法人 ブランド・プランナー協会

デザイナーになるために、必須の資格はありません。採用や業務委託では、資格の有無だけでなく、ポートフォリオ、実務経験、課題への考え方なども見られます。
一方で、資格の学習は「配色の根拠を説明できるようになりたい」「IllustratorやPhotoshopの操作力を確かめたい」「制作だけでなく、企画や提案にも関わりたい」といった課題を埋める手段になります。
この記事では、デザイナーに関係する資格を、色彩、制作、印刷・CG、ユーザー視点、知的財産、ブランディングの6分野に分けて紹介します。資格名だけで選ばず、これから担当したい仕事に必要な力から比較してみましょう。
※本記事は、掲載資格の一つを運営するブランド・プランナー協会が制作しています。掲載順は優劣や人気の順位ではありません。各団体の公式情報を基に整理し、「向いている人」は試験・講座内容から考えた編集部の見解です。
結論|デザイナーの資格は、伸ばしたい能力から選ぶ
デザイナー向けの資格は、大きく次のように整理できます。
- 配色の基礎と説明力:色彩検定、カラーコーディネーター検定試験
- ソフトの操作・制作力:Adobe Certified Professional、Illustrator/Photoshopクリエイター能力認定試験
- 印刷・CGの専門知識:DTPエキスパート、CGクリエイター検定
- 多様な利用者への配慮:UD検定、人間中心設計スペシャリスト
- 権利に関する基礎:知的財産管理技能検定
- 企業価値から考える提案力:ブランド・プランナー協会認定2級
未経験者は基礎知識やツール操作、現役デザイナーは担当領域の専門性、上流工程へ進みたい人はユーザー理解・知財・ブランド設計を候補にすると選びやすくなります。
監修者の視点|上流工程では、戦略思考と意思決定者との対話が必要になる
デザイナーが制作から提案・上流工程へ役割を広げるには、戦略思考を持ち、経営者などの意思決定者とコミュニケーションを取る必要があります。
一方、制作技術の習得だけで、こうした力を身につけることは簡単ではありません。プレゼンテーションの場へ積極的に参加し、マーケティングやブランディングを学びながら、実際の提案を重ねることが大切です。
資格選びでも、制作技術を深めたいのか、提案の前提となる考え方を学びたいのかを分けて考えましょう。上流工程を目指す場合、資格は知識を補う手段の一つ。対話や提案の実践も欠かせません。
デザイナーにおすすめの資格11選【比較表】
比較表は横にスクロールできます。
| 資格 | 主に学ぶ・確認する力 | 公式掲載の費用(税込) | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 色彩検定 | 色の基礎、配色、色彩心理 | 3級7,000円、2級10,000円 | 配色の基礎を体系化したい人 |
| カラーコーディネーター検定試験 | 色彩知識とビジネスでの活用 | IBT:スタンダード5,500円、アドバンス7,700円 | 色を実務の提案に活かしたい人 |
| Adobe Certified Professional | Adobe製品の知識・操作 | 1科目12,980円、学割9,680円 | Illustrator・Photoshop等の操作力を示したい人 |
| Illustratorクリエイター能力認定試験 | Illustratorによる制作 | スタンダード8,100円、エキスパート9,100円 | 指示に沿った制作力を確認したい人 |
| Photoshopクリエイター能力認定試験 | Photoshopによる画像制作 | スタンダード8,100円、エキスパート9,100円 | 画像編集・制作力を確認したい人 |
| DTPエキスパート | DTP、色、印刷、情報システム等 | 16,000円 | 印刷物の設計・制作知識を深めたい人 |
| CGクリエイター検定 | 2D・3D CG、映像制作の知識 | ベーシック6,050円、エキスパート7,150円 | CG・映像領域へ広げたい人 |
| UD検定・初級 | ユニヴァーサルデザインの基礎 | 6,050円(確認した開催回) | 多様な利用者への配慮を学びたい人 |
| HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト | HCD・ユーザビリティの実践能力 | 受験料12,000円。合格後に登録・維持費 | 実務経験を基にユーザー視点を示したい人 |
| 知的財産管理技能検定3級 | 著作権等を含む知財の管理 | 学科・実技各6,100円 | 制作物と権利の基礎を学びたい人 |
| ブランド・プランナー協会認定2級 | ブランド戦略、言語化、制作・企画のディレクション | 受講料49,500円 | 制作から企画・ブランド提案へ広げたい人 |
費用は2026年9月7日時点で確認できた公式情報です。教材、会場利用、登録、更新などの費用が別途必要な場合があります。「受験料が安い=取得に必要な総額が安い」とは限らないため、申込み前に最新の条件をご確認ください。
色彩・配色の根拠を学びたい人向け
1色彩検定
公益社団法人色彩検定協会が実施する検定です。色の働き、色の分類、色彩心理、配色などを段階的に学びます。3級は色彩の基本事項、2級はより実務につながる内容、1級は専門的な知識を問う構成です。
感覚で決めていた配色を言葉で説明したい人や、クライアントへ配色意図を伝えるための基礎を身につけたい人に向いています。色覚の多様性を学ぶUC級もありますが、本記事では同じ制度内の級を別資格として数えていません。
2カラーコーディネーター検定試験
東京商工会議所が実施する検定です。スタンダードクラスでは色彩の基礎、アドバンスクラスではビジネスでの活用事例や、ビジュアルデザイン等に関する幅広い知識を扱います。
色彩を制作だけでなく、商品・サービスや提案の文脈で捉えたい人の候補です。IBT方式は自宅・会社等で、CBT方式はテストセンターで受験します。CBTでは利用料が加わります。
Illustrator・Photoshopのスキルを確認したい人向け
3Adobe Certified Professional
Adobe製品を扱う知識とスキルを認定する資格です。Illustrator、Photoshop、Premiere Pro等の科目があり、科目ごとに受験します。IllustratorとPhotoshopの両方に合格するなど、指定された組み合わせにより複合的な認定が付与される制度もあります。
使用するAdobe製品が明確で、製品ごとの操作知識を客観的に確かめたい人に向いています。試験バージョンが分かれているため、自分が学習・使用するバージョンも確認しましょう。
4Illustratorクリエイター能力認定試験
サーティファイが実施する、Illustratorを使ったコンテンツ制作能力の試験です。スタンダードは指示に沿って正確に作業する力、エキスパートは知識問題に加え、目的に応じた機能選択や制作力を確認します。
Illustratorの学習目標がほしい人や、操作だけでなく、指定条件に沿って一つの制作物を完成させる試験に取り組みたい人の候補です。
5Photoshopクリエイター能力認定試験
Photoshopによる画像編集・制作能力を測る試験です。スタンダードとエキスパートがあり、実技・実践問題を通じて、指示に基づく操作と成果物の制作力を確認します。
画像補正、加工、ビジュアル制作など、Photoshopを日常的に使う仕事を目指す人の候補です。資格対策だけで終わらず、自分で目的やターゲットを設定した作品もポートフォリオへ加えましょう。
印刷・CG領域の専門知識を深めたい人向け
6DTPエキスパート
公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)の認証資格です。DTP、色、印刷技術、情報システム、コミュニケーションと印刷ビジネスの5分野を扱います。
グラフィックデザインや印刷物に関わり、画面上の制作だけでなく、印刷工程や情報設計まで理解したい人に向いています。認証期間は2年で、継続には更新試験と更新料が必要です。
7CGクリエイター検定
公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)が実施する検定です。2次元・3次元CG、映像表現、制作ワークフローなどの知識を扱います。
グラフィックからCG、映像、ゲーム、アニメーション等へ担当領域を広げたい人の候補です。ソフトの操作試験とは性格が異なるため、制作技術を示す作品と組み合わせて活用しましょう。
利用者の視点をデザインへ反映したい人向け
8UD検定・初級
一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が実施する検定です。多様な人の存在を理解し、商品・サービス等を考えるためのユニヴァーサルデザインの基礎を学びます。確認した開催回では、オンライン講習と試験がセットでした。
見た目の美しさだけでなく、年齢、身体特性、利用環境などの違いへ配慮したい人に向いています。開催回によって日程が設定されるため、最新案内を確認してください。
9HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト
特定非営利活動法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)が実施する認定制度です。試験対策で知識を得る入門資格ではなく、過去の人間中心設計・ユーザビリティ活動を申請し、書類審査を受ける実務者向けの資格です。
スペシャリストは関連実務経験2年以上が目安とされ、実践事例も求められます。UI・UX、サービス、プロダクトなどで、利用者を理解して設計した経験を整理したい現役デザイナーの候補です。受験料のほか、合格後の登録料・資格年会費・更新料を確認しましょう。
制作物の権利を理解したい人向け
10知的財産管理技能検定3級
知的財産に関する国家試験です。デザイナーに関係が深い著作権だけを扱う資格ではありませんが、制作物、商標、契約等の権利を考える基礎になります。
素材を使う側・制作物を納品する側として、権利の扱いに関する共通言語を身につけたい人の候補です。実際の案件で判断に迷う場合は、資格知識だけで結論を出さず、契約内容の確認や専門家への相談が必要です。
制作から企画・提案へ領域を広げたい人向け
11ブランド・プランナー協会認定2級
一般社団法人ブランド・プランナー協会の資格です。ブランド戦略、企業の価値の言語化、クリエイティブ、Webサイト等のディレクション、企画を全5回のオンライン講座で学び、レポート提出後に認定試験へ進みます。
デザインソフトの操作を学ぶ資格ではありません。依頼された制作物を仕上げるだけでなく、「企業の何を、誰へ、どのように伝えるか」を整理し、コピーライターやWeb担当者等と連携して提案したいデザイナーの候補です。
まだブランドを明確にできていない企業や、ブランドのアップデートが必要な企業に対し、制作の前段階から関わりたい場合は、カリキュラムをご確認ください。
未経験・現役・独立志向別の選び方
未経験からデザイナーを目指す場合
最初に、目指す分野で実際に使う基礎とツールを選びます。グラフィックなら色彩とIllustrator・Photoshop、CGならCG制作の基礎が候補です。資格の学習と並行して、応募先や依頼者に見せられる作品を制作しましょう。
現役デザイナーが専門性を深める場合
日常業務の弱点から逆算します。配色説明に迷うなら色彩、入稿・印刷工程まで担当するならDTP、利用者調査やUI・UXの実践経験があるならHCDというように、現在の担当領域と接続する資格を選びます。
独立や上流工程を目指す場合
制作力に加え、課題を聞く力、企画を言語化する力、権利や契約を理解する力が必要です。知財やブランディングを学び、「何を作るか」が決まる前の段階から相談を受けられる準備をしましょう。
資格を仕事につなげる3つの方法
1.ポートフォリオに学習内容を反映する
合格証だけでなく、学んだ判断基準を作品へ反映します。配色、情報設計、利用者への配慮など、どの知識をどう使ったかを短く説明すると、考え方が伝わります。
2.制作物ではなく、課題から説明する
「ロゴを作った」で終わらず、依頼者の課題、対象者、自分が担当した範囲、判断の理由、結果を整理します。確認できていない成果を推測で書かないことも大切です。
3.相談してほしい仕事を言葉にする
資格名だけでは、依頼できる内容は相手に伝わりません。「印刷仕様まで考えた制作」「利用者調査を踏まえた改善」「企業価値を整理したうえでのデザイン提案」など、自分が担当したい仕事と結びつけましょう。
上流工程へ進みたい場合は、提案資料を作るだけでなく、経営者や事業責任者が参加するプレゼンテーションの場へ出る機会を増やします。相手が何を判断材料にしているかを知り、マーケティングやブランディングの知識を使って提案し、反応を踏まえて改善する。この反復が、対話力と提案力を養います。
デザイナーの資格についてよくある質問
Q.デザイナーになるために資格は必要ですか?
必須ではありません。資格は基礎知識や操作力を学び、到達点を示す手段の一つです。ポートフォリオ、実務経験、説明力なども合わせて準備しましょう。
Q.未経験者はどの資格から取得すべきですか?
先に目指すデザイン分野を決め、その分野で使う基礎・ツールに近いものを選びます。資格取得そのものを目的にせず、学習中から作品制作を進めることが重要です。
Q.IllustratorやPhotoshopの資格は両方必要ですか?
担当したい制作物によります。ロゴ・図版・レイアウトと、写真補正・画像合成では主に使う機能が異なります。求人や案件で求められる作業を確認し、必要な製品から学びましょう。
Q.資格があればデザインの仕事を受注できますか?
資格だけで受注が決まるわけではありません。相手の課題を理解し、自分が対応できる範囲、制作の進め方、過去の作品を説明する必要があります。
まとめ|制作技術と、判断・提案に必要な知識を組み合わせよう
デザイナー向け資格は、色彩、ツール、印刷、CG、UD・HCD、知財、ブランディングなど、対象とする力が異なります。現在の弱点と、今後担当したい仕事から選びましょう。
制作から企業の価値整理、言語化、企画、ディレクションへ領域を広げたい方は、ブランド・プランナー協会認定2級のカリキュラムもご確認ください。

監修:松井 寛志
一般社団法人ブランド・プランナー協会 理事長・ブランドクリエイティブ講師。企業ブランディングの実務と教育に携わり、ブランド戦略を言葉や視覚表現へ落とし込む考え方を伝えています。