株式会社河合楽器製作所 伊藤 慎一様

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プロダクトブランディングを起点にインナー・アウターを横断するブランディングプロジェクトになった

※レポートから一部の事例をご紹介します

受講生

ブランド・プランナー1級
株式会社河合楽器製作所 伊藤 慎一様
オフィシャルサイト:https://www.kawai.co.jp
ハイブリッドピアノ「NOVUS」特設サイト:https://www.kawai-global.com/novus/jp/
プロモーション動画:https://www.youtube.com/watch?v=jQJgpotpwzI

「ハイブリッドピアノ」という新ジャンルのプロダクトブランド

技術と伝統を融合させた新しいプロダクトへの挑戦


※ハイブリッドピアノ「NOVUS」特設サイト

弊社では、「ハイブリッドピアノ」というプロダクトをリリースしました。これは、従来からあるアコースティックピアノとデジタルピアノを融合させたものであり、それぞれの持つ特長を組み合わせた新しいジャンルのピアノです。

ハイブリッドピアノが誕生した背景としては、「音楽大学の学生寮でピアノの練習をしたいけれど、ピアノを設置するスペースがなくて困っている学生の方は多い。そこで、本物のタッチなのに最小サイズのピアノを開発したらどうだろう」という仮説が発端です。それに、弊社は95年以上にわたりピアノを製造してきた歴史があります。その技術と伝統を生かせば、グランドピアノの鍵盤・アクションそのものを最小のケースに入れることができ、寮での練習で使うピアノのタッチ感と実技試験や演奏会で使うピアノのタッチ感の違いをなくせるので、学生の方に受け入れていただけるだろうと考えました。

ハイブリッドピアノは新しいジャンルのピアノなので、どうやってプロダクトとしてのブランドを市場に広めていくかなどの課題はたくさんあるものの、未知のジャンルへ挑む価値があると思いプロジェクトとしてスタートさせました。

プロダクトブランディングの前にはインナーブランディングがあった

部署を横断したプロジェクトとしてスタート

ハイブリッドピアノの開発は、弊社にとっても大きなチャレンジでした。これは社内体制の話になりますが、アコースティックピアノとデジタルピアノを担当する部署が分かれているので、ハイブリッドピアノの開発は必然的に部署を横断したプロジェクトとなります。それぞれの部署にハイブリッドピアノの開発目的を理解してもらい、共通のゴールに向かってプロジェクトをスタートさせる必要があります。

正直にお伝えすると、部署を横断したプロジェクトはあまり前例がなかったので不安な部分がありました。それに、弊社はいわゆる「職人気質」の強い風土でもあったので、新しいジャンルであるハイブリッドピアノを社内で受け入れてもらえるのかも不安でした。

ユーザーに響くプロダクトは社内のブランド理解が欠かせない

実際にプロジェクトがスタートしてみると、前例のないプロダクトなので最初は社内から戸惑いの声があったのも事実です。でも、プロダクト自体には自信があったので、一つひとつ実績を積み重ねていくことで理解してもらえるだろうと考えました。そのような状況の中でも、ピアノの製造を行う現場の職人の方々がノリ気になってくれたのはとても助かりましたね。「面白そうですね!」と、前向きな姿勢でプロジェクトに参加してくれたので、周囲にも良い影響を与えてくれたと思います。

これはプロジェクトから学んだことですが、プロダクトブランディングというと「ユーザーに対するブランディング施策」を意識しがちです。でも、プロダクトを生み出すためには、まず自社のスタッフに対するブランディングがとても重要だと実感させられました。プロダクトをユーザーに届けるためには、自社スタッフがプロダクトのブランド価値を十分に理解した上で、プロジェクトを進めていかないと空中分解してしまうからです。


※伊藤様が担当した製品デザイン

インナー・アウターともに良い影響を与えるプロダクトブランディングになった

当初の予定を上回る結果が残せた

ハイブリッドピアノのプロダクトブランディングは、アコースティックピアノとデジタルピアノが融合し、「未来」をイメージさせる新しい楽器であることを印象付ける点がポイントでした。

そこで、リリースに際して新しいプロモーション施策にチャレンジしてみることになりました。若い世代をターゲットにしたプロダクトということもあり、ターゲットである若手ピアニストに人気のあるタレント性を兼ね揃えたピアニストを起用し、プロモーション動画の制作を行いました。これまで弊社ではプロモーション動画の制作を行ってきませんでしたが、今では動画を制作する流れができました。このプロジェクトがきっかけとなり、社内のプロモーションやブランディングに対する意識が向上したと思います。

結果的にハイブリッドピアノは、当初の予定を大きく上回る販売台数を達成することができました。2つのプロダクトでグッドデザイン賞も受賞することができ、対外的にも評価していただけたようです。また、これは嬉しい誤算なのですが、元々は音楽大学の学生の方をターゲットに開発したプロダクトであるものの、今では中高年の方が書斎などに置いて演奏を楽しんでくださったり、プロのピアニストの方がご自宅の練習用として愛用してくださったりと、ご利用いただく幅がどんどんと広がっているんです。

新しいジャンルへの挑戦としてスタートしたハイブリッドピアノですが、弊社に新しい風を吹き込んでくれたと思います。アウターブランディングとしては新しい顧客層へアプローチすることで好成績を納めることができ、インナーブランディングとしては社内に新しいジャンルに挑戦する風土ができつつあります。部署の垣根を越えたり、新しいプロモーションにチャレンジしたりと、いくつものチャレンジの結晶がハイブリッドピアノというプロダクトブランドとなり、プロダクトブランディングを起点にインナー・アウターを横断するブランディングプロジェクトになったと思います。

伊藤 慎一(Ito Shinichi)

株式会社河合楽器製作所
生産統括本部 デザイン室

オフィシャルサイト:
https://www.kawai.co.jp
ハイブリッドピアノ「NOVUS」特設サイト:
https://www.kawai-global.com/novus/jp/
プロモーション動画:
https://www.youtube.com/watch?v=jQJgpotpwzI

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